ピックルボールのツーバウンドルールとは、サーブと、そのサーブを返すリターンを、それぞれ 1 回弾ませてから打たなければならないという決まりです。2026年版の USA Pickleball 公式ルールブックでは第 10.A 条に置かれています。
結論から言うと、ノーバウンドで打ってはいけないのは「レシーバーがサーブを打つ時」と「サーブ側の 2 人がリターンを打つ時」の 2 回だけです。両チームのコートで 1 回ずつ弾んだ後は、ボレーでも弾ませてからでも打てます。テニス経験者が引っかかるのは 2 回目の方で、サーブ側がリターンを空中で打ってしまう場面です。
この記事の要点
- 第 10.A 条: サーブとリターンはそれぞれ弾んでから打つ。レシーバーがサーブを空中で打つと第 10.A.1 条、サーブ側がリターンを空中で打つと第 10.A.2 条のフォルト
- 目的は、USA Pickleball のルール要約では「サーブ&ボレーの有利さをなくし、ラリーを長くする」と説明されています
- テニスでもレシーバーはサーブを弾ませて返します。違うのは、サーブ側もリターンを弾ませなければならない点です
- 「ツーバウンド」は同じ側で 2 回弾ませてよいという意味ではありません。同じ側で 2 回弾めば第 10.B.1 条のフォルトです
- 審判がいない試合では、この反則は犯した本人とパートナーがコールします。相手は指摘できますが、決めるのは本人です(第 9.B.2・9.B.4 条)
対象読者: テニスやバドミントンの経験があり、サーブの後についボレーしてしまう人。練習会で「今のはツーバウンド」と言われ、理由を条文で確かめたい人。
読了後にできること: 1 球目から 3 球目までを誰がどう打つかを条文番号つきで説明でき、審判がいない試合でこの反則をどう扱うかが分かります。
ツーバウンドルールの中身(第10.A条)
USA Pickleball の2026年版の公式ルールブックは、第 1 節でこの決まりをノンボレーゾーン(キッチン)と並ぶピックルボール独自の特徴に挙げ、第 10.A 条で「サーブとサーブのリターンは、それぞれ弾んでから返さなければならない」と定めています。ルール全体の流れは「ルールを初心者向けに整理」、競技そのものは「ピックルボールとは?」に任せ、ここではこの 1 条だけを掘ります。

1球目から3球目までの流れ
打球の順に数えると分かりやすくなります。1 球目はサーバーのサーブで、受けるレシーブ側は自分のコートで 1 回弾ませてから返します。2 球目はレシーバーのリターンで、受けるサーブ側も自分のコートで 1 回弾ませてから返します。これで両チームのコートで 1 回ずつ弾んだことになり、3 球目からはノーバウンドで打つこともできます。統合前の協会のルールページ(保存版)も、同じ数え方で「3 球目以降はノーバウンドで打つことができる」と説明しています。連盟の新しいルールのページにも同じ趣旨の説明があります。
| 打球 | 打つ人 | 受ける側 | 受ける側は弾ませるか | 弾ませずに打つと |
|---|---|---|---|---|
| 1 球目(サーブ) | サーバー | レシーブ側 | 必ず弾ませる | レシーバーのフォルト(10.A.1) |
| 2 球目(リターン) | レシーバー | サーブ側 | 必ず弾ませる | サーブ側のフォルト(10.A.2) |
| 3 球目以降 | 交互に | 相手側 | どちらでもよい | フォルトにならない(キッチンの決まりは別) |
条文が定める2つのフォルト
第 10.A.1 条では、レシーバーがサーブを弾ませずに打つと、レシーバーのフォルトとされています。第 10.A.2 条では、サーバーまたはサーバーのパートナーがリターンを弾ませずに打つと、サーブ側のフォルトです。ルール要約の整理では、レシーブ側のフォルトはサーブ側の得点に、サーブ側のフォルトはサーバーの交代かサイドアウトになります。点がどう動くかは「得点の数え方とスコアコール」で追えます。
3 球目からボレーできるといっても、キッチンの決まりは別に残ります。第 11.A 条では、ボレーはノンボレーゾーンの外から始めなければならないとされています。詳しくは「キッチンのルールと反則の例」をどうぞ。
この決まりがある理由
なぜ 2 球目まで弾ませるのかは、公式の要約に短く書かれています。ここでは要約で読める範囲だけを紹介し、打ち方や作戦の話は個別の記事に送ります。

サーブの直後に前へ出て決める形をなくす
USA Pickleball のルール要約(Pickleball Rules Summary)には、ツーバウンドルールはサーブ&ボレーの有利さをなくし、ラリーを長くすると書かれています。連盟の公式ルールのページでも、テニスではサーブを打った後すぐに前へ出てボレーを決められるが、ピックルボールではまずラリーを続けるためにこれが禁止されている、と説明されています。同じページは、この決まりを「ピックルボールの象徴的なルール」「テニス経験者にとってはなかなか慣れないルール」とも書いています。
サーブ側はすぐにはネットへ詰められない
リターンが弾むのを待たなければならないので、サーブ側はサーブを打ってすぐにネットへ詰めることができません。そこからどう前へ出るかは「サードショットドロップの打ち方」、先に前へ出られるリターン側の動きは「リターンの狙いと前への詰め方」、2 人の動きのそろえ方は「ダブルス戦術の基本」で扱っています。
テニス経験者がやりがちな誤り
テニスのルールと並べると、どこでつまずくかがはっきりします。国際テニス連盟(ITF)の2026 Rules of Tennisの第 24 条 e 項では、レシーバーがサーブを弾む前に返すと失点とされています。1 回目の「弾ませる」はテニスも同じで、違うのはサーブ側が受ける 2 回目です。

| 場面 | テニス(ITF 2026 Rules of Tennis) | ピックルボール(USA Pickleball 2026年版) |
|---|---|---|
| レシーバーがサーブを受ける | 弾む前に返すと失点(第 24 条 e) | 弾む前に打つとフォルト(第 10.A.1 条) |
| サーブ側がリターンを受ける | サーブの後に前へ出てボレーできる(連盟のページの説明) | 弾む前に打つとフォルト(第 10.A.2 条) |
| 同じ側で 2 回弾んだ | 2 回弾む前に返さないと失点(第 24 条 b) | 2 回弾む前に返さないとフォルト(第 10.B.1 条) |
サーブの後にそのまま前へ詰める
テニスのサーブ&ボレーの動きが体に残っていると、サーブを打った勢いで前へ出て、返ってきたリターンを空中で打ってしまいます。これが第 10.A.2 条のフォルトです。サーブを打ったら、まずリターンが自分のコートで弾むのを見届けてから打つ、と順番で覚えると崩れにくくなります。
サーバーのパートナーがリターンを空中で止める
第 10.A.2 条の対象には、サーバー本人だけでなくパートナーも入っています。テニスのダブルスでネット際に立つ役に慣れている人は、サーブ側のパートナーとして前にいると、目の前に来たリターンをボレーしたくなります。サーブ側の 2 人とも、2 球目は弾ませてから打つ決まりです。
アウトになりそうなリターンを空中で打つ
第 10.A.2 条は「リターンを弾む前に打つとフォルト」とだけ書いていて、球の行き先で扱いを分けていません。外へ出そうな球でも、空中で触ればサーブ側のフォルトの場面になります。見送って外に落ちれば、第 10.C.1 条で打った側のフォルトです。
バドミントン経験者と名前で起きる読み違い
ツーバウンドルールでつまずくのはテニス経験者だけではありません。シャトルを床に落とさずに打ち合う競技に慣れた人と、「ツーバウンド」という名前をそのまま受け取った人にも、よくある読み違いがあります。

サーブを空中で取りにいく
バドミントンに慣れていると、飛んできたサーブを床に落ちる前に打ち返したくなります。ピックルボールでは、レシーバーはサーブを 1 回弾ませてから返さないと第 10.A.1 条のフォルトです。第 2 節の定義では、弾む前に打つことをボレーと呼んでいます。
同じ側で2回弾ませてよいわけではない
「ツーバウンド」は、サーブ側とレシーブ側のコートで 1 回ずつ、合わせて 2 回弾むという意味です。同じ側で 2 回弾ませてよいという意味ではありません。第 10.B 条では、2 回目に弾む前に返さなければならないとされ、第 10.B.1 条で 2 回弾ませるとその選手のフォルトです。
車いすの選手の「2回まで弾ませてよい」は別の決まり
ルールブックの第 25.A.9 条には「Two-Bounce Allowance」という規定があり、車いすの選手は返す前に 2 回まで弾ませてよいとされています。これは第 10.B 条(弾む回数の上限)を変える規定で、第 10.A 条のツーバウンドルールとは別のものです。
審判がいない時の扱い
友人どうしの練習や審判のいない大会では、ツーバウンドルールの反則を誰がコールするかが問題になります。ルールブックは第 9.B 条で、コールする人をはっきり分けています。反則とコールの全体は「アウトとフォルトの判定基準」でも扱っています。

自分とパートナーの反則は自分たちでコールする
第 9.B.2 条では、選手は自分やパートナーのフォルトを、犯した時か気づいた時にすぐコールするものとされています。リターンをうっかりボレーしてしまったら、サーブ側が自分から申し出るのが決まりどおりの扱いです。
相手の反則は指摘まで、決めるのは本人
第 9.B.3 条では、相手に対してコールできるフォルトはノンボレーゾーンの反則とサーブの足の反則の 2 つだけとされています。ツーバウンドルールの反則はそのどちらでもないので、第 9.B.4 条が当てはまります。相手の反則に気づいたらラリーの後に伝えることはできますが、それを強制する権限はなく、最終的に決めるのはその反則をしたとされる本人です。
大会で決まらない時と、審判がいる試合
審判のいない大会について定めた第 24 節では、相手が何度もルールに反していると思う時(第 24.C.1 条)や、選手どうしですぐに解決できない時(第 24.C.2 条)は、審判か大会責任者を呼べるとされています。審判がいる試合では、第 17.D.8 条で審判がルール違反を見つけてコールします。
| 場面 | 審判がいない試合 | 審判がいる試合 |
|---|---|---|
| 反則をコールする人 | 犯した本人とパートナー(9.B.2) | 審判(17.D.8) |
| 相手が気づいた時 | ラリーの後に指摘できるが、決めるのは本人(9.B.4) | 判定は審判が行う(17.A) |
| 解決しない時 | 大会なら審判か大会責任者を呼べる(24.C) | ― |
よくある質問
Q. ツーバウンドルールは何球目まで続きますか?
A. 2 球目のリターンまでです。サーブとリターンが 1 回ずつ弾んだ後、3 球目からはボレーで打つこともできます。
Q. サーブ側のパートナーがリターンをボレーしたらどうなりますか?
A. 第 10.A.2 条で、サーバーかそのパートナーがリターンを弾む前に打つと、サーブ側のフォルトとされています。
Q. シングルスにもツーバウンドルールはありますか?
A. あります。第 10.A 条はシングルスとダブルスを分けておらず、「サーブとリターンはそれぞれ弾んでから返す」という同じ決まりです。
Q. ラリー方式でもツーバウンドルールは同じですか?
A. 同じです。第 14.A.1 条では、ラリー方式は第 14.A 条に書かれた変更以外は通常のルールが当てはまるとされ、変更にツーバウンドルールは入っていません。
Q. 相手がツーバウンドの反則を認めない時はどうすればよいですか?
A. 審判がいない試合では、ラリーの後に伝えることはできますが、決めるのは本人です(第 9.B.4 条)。大会で繰り返される時は、審判か大会責任者を呼べます(第 24.C.1 条)。
Q. リターンがアウトになりそうな時も弾ませないといけませんか?
A. 第 10.A.2 条は球の行き先で分けていないので、空中で打てばサーブ側のフォルトの場面になります。見送って外に落ちれば打った側のフォルトです。
参考・出典
この記事のツーバウンドルールの条文とフォルトの扱い、テニスのルールとの比較は、2026年9月30日に USA Pickleball の2026年版ルールブックとルール要約、統合前の協会の公式ルールのページ(保存版)、ITF の2026 Rules of Tennis を開いて確認した内容です。条文の番号と内容は年ごとに改定されることがあるので、大会に出る前は各公式ページでご確認ください。原文は転載せず、条文番号つきで要点をまとめています。
- 2026 USA Pickleball Official Rulebook(PDF)
- Pickleball Rules Summary(USA Pickleball)
- 公式ルール|統合前の日本ピックルボール協会のページ(2026年1月9日の保存版)
- ITF 2026 Rules of Tennis(英語版 PDF)
最終更新日: 2026年10月7日
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