ピックルボールのキッチンとは、ネットの両側7フィート(約2.13m)の範囲にある「ノンボレーゾーン」の通称です。この中や線の上では、ボールが弾む前に打つボレーが禁止されています。反対に、ボレーをしていない時は、キッチンに入っても反則ではありません。
結論から言うと、キッチンの反則はすべて「ボレーをした時」に起きます。ボレーを打つ時に足や持ち物がキッチンに触れる、ボレーの勢いでキッチンに入る、キッチンから出きらないうちにボレーする、の3つが基本です。ボールが弾んだ後なら、キッチンの中に入って打って構いません。
この記事の要点
- キッチンの反則は、ボレーをした時にだけ問われます。弾んだボールを打つ時や、ただ立っている時は反則ではありません
- キッチンの線もキッチンの一部です。空中はキッチンに含まれないので、線の上の空間でボレーしても足が触れなければ反則になりません
- ボレーの勢いは、体勢を立て直して止まるまで続きます。ボールが死んだ後に踏み込んでも反則です
- 持ち物やパートナーを通してキッチンに触れた場合も、ボレーした人の反則になります
- セルフジャッジでは、キッチンの反則は相手の分もコールできます。意見が分かれたらラリーのやり直しです
対象読者: 練習会や初めての大会で「今のはキッチン?」と止まってしまう人や、ボレーの後に踏み込んでしまう人。
読了後にできること: よくある場面ごとに反則かどうかを判断し、セルフジャッジでのコールの仕方も説明できます。
キッチンの反則を決める3つの規則
USA Pickleball の2026年版公式ルールブックでは、キッチンの反則は第11節「Non-Volley Zone Infractions」にまとめられています。要約すると、ボレーはすべてキッチンの外から始める必要があり、ボレーをしている時以外は、キッチンに触れても構わない、という考え方です。そのうえで、反則になる形が3つ挙げられています。

3つの反則の中身
| 規則 | 反則になる場面(要約) | よくある形 |
|---|---|---|
| 11.A.1 | ボレーをしている人や、その人に触れているもの(パートナーを含む)がキッチンに触れる | 線を踏んだままボレーする |
| 11.A.2 | ボレーの勢いで、キッチンに触れている何か(パートナーを含む)に触れる | 打った後に前へつんのめる |
| 11.A.3 | キッチンに触れた後、両足がキッチンの外に着く前にボレーする | キッチンから片足だけ出してボレーする |
ルール要約のPickleball Rules Summaryでも、ボレーする時にラインを含むキッチンを踏むことと、ボレーの勢いで本人や身につけたもの・持っているものがキッチンに触れることがフォルトとされています。
ボレーの動作はいつ終わるか
ルールブックの定義では、ボレーの動作はボールを空中で打った時に始まり、振り終わりの動き(勢い)が止まった時に終わるとされています。さらに「勢い」の定義では、プレーヤーがバランスを取り戻して自分の動きを制御できた時か、キッチンに向かう動きが止まった時に終わると書かれています。ボレーの後に数歩よろけてからキッチンに入った場合も、まだ勢いの途中なら反則です。
線はキッチンに含まれ、空中は含まれない
ルールブックのコートの規定では、キッチンを囲む線はすべてキッチンの一部で、キッチンは平面であり、コートの上の空間には広がらないとされています。つまり、線を踏めばキッチンに触れたことになりますが、足が外にあれば、線の上の空間でボールをとらえても反則ではありません。キッチンの寸法は「コートサイズと各ラインの寸法」で確かめられます。
場面別 反則になる例とならない例
ここからは、練習会でよく止まる場面を、ルール要約とルールブックの章に書かれている範囲でまとめます。判定の最終的な扱いは、大会ではその大会の審判や要項に従ってください。

ボレーの後に勢いでキッチンへ入る
いちばん多いのがこの形です。要約では、ボレーの後に勢いでキッチンに入ったり触れたりした場合は、打ったボールがその前にデッドになっていても反則とされています。ルールブックの第9節でも、反則はふつうボールが生きている間にだけ起きますが、キッチンの勢いによる反則だけは例外だと書かれています。相手のミスでラリーが終わった後でも、自分の勢いでキッチンに入れば、その時点で自分の反則です。
線を踏んだまま、またはキッチンから出てすぐボレーする
キッチンの線に足をかけたままボレーすると、11.A.1の反則です。キッチンで弾んだボールを打った後、そのまま中にいて次のボールをボレーするのも同じです。11.A.3では、いったんキッチンに触れたら、両足をキッチンの外に着けてからでないとボレーできないとされています。片足だけ外に出した状態では足りません。
弾んだボールをキッチンの中で打つ
要約では、ボレーをしている時以外なら、プレーヤーはいつでもキッチンに入れるとされています。ボールがキッチンで弾んだ後に中へ入って打つのは反則ではありません。ネット前でのこうした打ち合いは「ディンクの打ち方と狙う場所」で紹介しています。
| 場面 | 要約とルールブックでの扱い |
|---|---|
| ボレーの後、勢いでキッチンの線を踏む | 反則(ボールが先に死んでいても) |
| 線に足をかけたままボレーする | 反則 |
| キッチンから片足だけ出してボレーする | 反則(両足を外に着けてから) |
| 弾んだボールをキッチンの中で打つ | 反則ではない |
| 足は外、線の上の空間でボレーする | 反則ではない |
| サーブがキッチンやキッチンの線に落ちる | サーブのフォルト(ショート) |
サーブについては別の決まりで、要約ではキッチンの線に触れたサーブは短いとされ、フォルトになります。サーブの全体は「ピックルボールのルールを初心者向けに整理」をどうぞ。
パドルや帽子など持ち物が落ちた場合
キッチンの反則は、足だけでなく、身につけているものや持っているものにも及びます。連盟の旧サイトの基本ルールのページでも、ボレーの勢いで帽子やサングラスなどがキッチンに落ちた場合はフォルトになると説明されています。

ボレーの時に持ち物がキッチンに触れる
ボレーを打つ時に、パドルの先や帽子、落ちたサングラスがキッチンに触れると、11.A.1の反則です。ボレーの勢いで持ち物がキッチンに飛んだ場合も同じ扱いになります。ネット前で体を伸ばしてボレーする時に、パドルの先で線をこすってしまうのはよくある形です。
ボレー以外の時に持ち物が落ちる
ルールブックの第10節では、身につけていたものや持っていたものが自分の側のコートに落ちても、ボールはそのままインプレーとされています。例外は、ボレーの結果としてその持ち物がキッチンに触れた場合で、これは先ほどの11.A.1の反則になります。弾んだボールを打った後に帽子が落ちた、という場面だけでは反則にはなりません。
| 持ち物が落ちた場面 | 扱い(要約) |
|---|---|
| ボレーの時にキッチンに触れた | ボレーした人の反則 |
| ボレーの勢いでキッチンに飛んだ | ボレーした人の反則 |
| ボレー以外の時に自分のコートに落ちた | ラリーはそのまま続く |
なお、2026年の変更点文書では、審判のいない大会で予備のボールを持って出る時、ボールが生きている間に予備のボールが相手に見えたりコートに落ちたりすると反則になる、という規定も示されています。これはキッチンに限らない決まりです。
パートナーとの接触と反則
ダブルスでは、パートナーを通してキッチンに触れる形があります。ルールブックの11.A.1と11.A.2には、どちらも「パートナーを含む」と書かれています。

キッチンにいるパートナーに触れたままボレーする
パートナーがキッチンの中に立っていて、自分がその人に触れたままボレーすると、ボレーした人の反則です。ボレーしている人に触れているものがキッチンに触れた、という扱いになるからです。支え合うように体を寄せてボレーするのは避けます。
ボレーの勢いでキッチン内のパートナーにぶつかる
ボレーの勢いで、キッチンに触れているパートナーにぶつかった場合も、ボレーした人の反則です。前に出たパートナーを手で押さえて止まろうとする動きは、この形になりやすいので注意します。ボレーの後は、自分の足で止まれる位置で打つのが基本です。
| 場面 | 反則になる人 |
|---|---|
| キッチンにいるパートナーに触れたままボレーする | ボレーした人 |
| ボレーの勢いでキッチンにいるパートナーにぶつかる | ボレーした人 |
| パートナーがキッチンにいるが、自分は触れずに外からボレーする | 反則ではない |
反則をだれがどう判定するか
キッチンの反則は、ルールブックの中でも判定の仕方が特別に決められています。練習会やセルフジャッジの大会で止まった時の手がかりになります。

セルフジャッジの場合
ルールブックの第9節では、プレーヤーは反則を見つけたらすぐ自分やパートナーの反則をコールするものとされています。そのうえで、相手の反則としてコールしてよいのは、キッチンの反則とサーブの足の反則だけとされています。コールは反則が起きたか見つかった時点で行い、次のラリーのサーブが打たれる前までに済ませる必要があります。
チームの間で意見が分かれた時は、ラリーのやり直しです。パートナー同士で意見が分かれた時は、相手チームに有利に決めることになっています。統合前の協会の推奨マナー(保存版)にも、判断に迷ったら相手に有利に判定するという考え方が挙げられています。
審判がいる試合の場合
ルールブックの第19節では、審判のいる大会の試合では、サーブの足の反則、ショートサーブ、キッチンの反則を審判がコールするとされています。審判のいる試合では、プレーヤー同士でキッチンの反則を言い合う形にはなりません。
| 比べる点 | セルフジャッジ | 審判がいる試合 |
|---|---|---|
| キッチンの反則をコールする人 | 本人・パートナー・相手 | 審判 |
| 意見が分かれた時 | チーム間はやり直し、パートナー間は相手に有利に | 審判の判定 |
| コールの期限 | 次のサーブが打たれる前まで | 審判の運用に従う |
2026年版ルールブックでの変更点と確かめ方
キッチンの反則の中身は、ここまでの3つの規則が基本です。2026年版での動きは、変更点文書で確かめられます。
ボレーの動作の説明が定義に移った
変更点文書では、2025年版で9.B.1という規則だった「ボレーの動作」の説明が、2026年版では規則ではなく定義になったと書かれています。中身は、ボールを空中で打った時に始まり、振り終わりの勢いが止まった時に終わる、という同じ考え方です。
番号は年ごとに確かめる
2026年版では、キッチンの反則は第11節にあります。変更点文書の各項目は、2025年版の番号と2026年版の番号を並べて示しているので、古い資料の番号で調べる時は照らし合わせてから読みます。ルールブックの入手先と読み方は「ルールブックの入手先と読み方」でまとめています。連盟のルールのページにも日本語の基本の説明がありますが、年ごとの変更は英語の原典で確かめてください。
競技の全体像は「ピックルボールとは?」で紹介しています。
よくある質問
Q. キッチンの中に入るだけで反則になりますか?
A. 入るだけでは反則ではありません。反則になるのはボレーをした時で、ボールが弾んだ後ならキッチンの中で打っても構いません。
Q. キッチンの線を踏んでボレーしたら反則ですか?
A. 反則です。ルールブックでは、キッチンを囲む線もキッチンの一部とされているので、線を踏んだままのボレーはキッチンの反則になります。
Q. 相手のボールがアウトだった後に、勢いでキッチンに入ったらどうなりますか?
A. 自分の反則です。勢いによるキッチンの反則は、ボールがデッドになった後でも問われる例外として扱われています。
Q. ボレーの時に帽子がキッチンに落ちたら反則ですか?
A. ボレーの時や、その勢いで帽子がキッチンに触れた場合は反則です。ボレー以外の時に自分のコートに落ちただけなら、ラリーは続きます。
Q. キッチンに片足だけ入った後、すぐボレーしてもいいですか?
A. できません。キッチンに触れた後は、両足をキッチンの外に着けてからでないとボレーできないとされています。
Q. セルフジャッジで相手のキッチンの反則を指摘してもいいですか?
A. キッチンの反則は相手の分もコールできます。次のサーブの前までに行い、チーム間で意見が分かれたらラリーをやり直します。
参考・出典
この記事のキッチンの規則と判定の仕方は、2026年9月29日に各公式ページとルールブックを開いて確認した内容です。ルールは毎年改定されることがあるので、大会に出る前は公式のページと大会の要項をご確認ください。
- 2026 USA Pickleball Official Rulebook(PDF・USA Pickleball)
- Pickleball Rules Summary(USA Pickleball)
- 2026 USA Pickleball Rulebook Change Document(PDF・USA Pickleball)
- USA Pickleball Official Rules(USA Pickleball)
- ピックルボールの基本ルール(ピックルボール日本連盟の旧サイト)
- ルール|Pickleball Japan(一般財団法人ピックルボール日本連盟)
- 推奨マナー|統合前の日本ピックルボール協会のページ(2026年1月31日の保存版)
最終更新日: 2026年10月6日
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