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車いすピックルボールのルール|通常との違いと組み方

車いすピックルボールのルール|通常との違いと組み方

車いすピックルボールとは、車いすに乗ってプレーするピックルボールのことです。USA Pickleball の2026年版ルールブックでは、第 4 部「インクルーシブなプレーの規則」の第 25 節に専用の決まりがあり、第 25.A.1 条では、障害の有無にかかわらず、車いすでプレーする人が車いすの選手として扱われます。

結論から言うと、通常のルールとの主な違いは「返す前に 2 回まで弾ませてよい(第 25.A.9 条)」「サーブとキッチンでは、大きな後輪を足の代わりに見る(第 25.A.8・25.A.10 条)」「立って打つ人と組んだり対戦したりできる(第 25.A.2・25.A.12 条)」の 3 つです。線の内側のコートの大きさは同じで、周りのプレー面の推奨値が広くなります(第 25.A.11 条)。

この記事の要点

  • 第 25 節は、車いす(25.A)、立って打つアダプティブ(25.B)、ハイブリッドダブルス(25.C)の 3 つに分かれています
  • 車いすの選手は 2 回まで弾ませてから返せ、2 回目はプレー面のどこでもよく、3 回弾めばフォルトです(第 25.A.9 条)
  • これは第 10.B 条(弾んでよい回数)を変える規定で、第 10.A 条のツーバウンドルールとは別の決まりです
  • サーブの時は、大きな後輪 2 つがベースラインの後ろで正しいサービングエリアの中にあればよく、前の小さい車輪はコートに出てよいとされています(第 25.A.8 条)
  • 国内では、日本パラピックルボール協会が 2025 年に千葉県船橋市で車いすピックルボールの体験を案内していました

対象読者: 車いすでピックルボールを始めたい人。車いすの人と一緒に打つ場を作りたい人や、練習会で同じコートに立つ人。

読了後にできること: 第 25 節のどの条文が通常のルールのどこを変えるかを確かめ、一緒にプレーする時の決まりと、国内で体験の情報を探す入口が分かります。

ルールブック第25節の3つの区分

2026年版の公式ルールブックの第 4 部の冒頭には、第 25 節は車いすでプレーする選手、バランスや移動、協調に影響する恒久的な身体の制約がある立って打つ選手、大会のハイブリッドダブルスに当てはまる追加の規則で、大会だけの規則でないものは通常のプレーにも大会にも当てはまる、と書かれています。第 1 節の基本原則にも、できる限りさまざまな必要に合わせてルールを整える、という項目があります。ルールブックの全体の構成は「ルールブックの入手先と読み方」で紹介しています。

第25節は25.A車いす、25.B立って打つアダプティブ、25.Cハイブリッドダブルスの3つに分かれ、大会だけの規則でないものは通常のプレーにも大会にも当てはまることを示した図
第25節の3つの区分

車いすの選手の決まり(25.A)

第 25.A.4 条では、車いすは選手の体の一部とみなされ、大きな後輪は、立って打つ選手の脚と同じように位置の判断に使われます。第 25.A.5 条では、打つ時にお尻の少なくとも片側が座面に着いていなければフォルトです。第 25.A.6 条で、ボールが生きている間に下肢(お尻・腰・太もも・膝・ふくらはぎ・足首・足)が地面や車輪に触れると、意図にかかわらずフォルトになります。試合の間ずっと腕で漕ぐことができない選手は片足で地面を蹴って進めますが、その試合の間は腕で漕がない、打つ時に足を地面に着けない、などの制限が付きます(第 25.A.7 条)。

3つの区分の早見表

区分 対象 主な決まり
25.A 車いす 障害の有無にかかわらず、車いすでプレーする選手 2 回まで弾ませてよい。サーブとキッチンでは大きな後輪を見る
25.B 立って打つアダプティブ 移動・バランス・協調に大きく影響する恒久的な身体の障害があり、車いすを使わずにプレーする選手 補助具は体の一部。条件を満たす選手は、アダプティブかハイブリッドの種目で、試合の前に申告すれば 2 回まで弾ませてよい
25.C ハイブリッドダブルス 車いすの選手 1 人と立って打つ選手 1 人の組 立って打つ側で 2 回弾ませてよいのは、条件を満たすアダプティブの選手だけ

2回まで弾ませてよい決まり(第25.A.9条)

ルールブック第 1 節の「独自の特徴」には、車いすの選手と一部の障害のある選手は返す前に 2 回まで弾ませてよく、1 回目はコートの中、2 回目はプレー面のどこでもよい、と書かれています。条文としては第 25.A.9 条です。

返すまでに弾んでよい回数は通常1回で車いすの選手は2回、フォルトになるのは通常2回弾んだ時で車いすの選手は3回弾んだ時であることを表にし、ツーバウンドルールとは別の決まりと添えた図
通常のルールと車いすの選手の違い

2回目はコートの外でもよい

第 25.A.9 条では、車いすの選手は 2 回まで弾ませてから返してよく、2 回目はプレー面のどこでもよいとされています。第 25.A.9.a 条で、3 回弾む前に返さなければその選手のフォルトです。USA Pickleball の車いすのルールのページにもこの条文が載っていて、アダプティブと車いすのページのよくある質問には、2 回まで弾ませてよく、3 回弾ませるとフォルトになると書かれています。

ツーバウンドルールとは別の決まり

第 10.A 条のツーバウンドルールは、サーブとリターンをそれぞれ弾ませてから打つ、という決まりです。第 25.A.9 条が変えるのは第 10.B 条(同じ側で弾んでよい回数)で、第 10.A 条を変える規定は第 25.A 節にはありません。名前が似ているので、「ツーバウンドルールとは?」とあわせて読むと混同しにくくなります。

項目 通常のルール 車いすの選手
返すまでに弾んでよい回数 1 回(第 10.B 条) 2 回(第 25.A.9 条)
2 回目に弾む場所 2 回目は認められていない プレー面のどこでもよい
フォルトになる時 2 回弾んだ(第 10.B.1 条) 3 回弾んだ(第 25.A.9.a 条)
サーブとリターンを弾ませる決まり 第 10.A 条 第 25.A 節に変える規定はない

サーブとキッチンで見るのは大きな後輪

第 25.A.4 条で大きな後輪が脚と同じ扱いになるので、足の位置が問われる場面、つまりサーブとキッチンでは後輪を見ます。前の小さい車輪の扱いが緩いのが特徴です。

サーブの瞬間は大きな後輪2つがベースラインの後ろの正しいサービングエリアの中にあり前の小さい車輪はコートに出てよいこと、ボレーの時は前輪と転倒防止の車輪はキッチンに触れてよく大きな後輪が触れるとフォルトであることを左右に並べた図
サーブとキッチンで見る車輪

サーブの瞬間(第25.A.8条)

第 25.A.8 条では、サーブの瞬間、大きな後輪 2 つはベースラインの後ろのプレー面に着いていて、正しいサービングエリアの外に触れてはいけません。前の小さい車輪はコートに出てよいとされています。後輪が浮いていた(第 25.A.8.a 条)、コートに触れていた(第 25.A.8.b 条)、サービングエリアの外に触れていた(第 25.A.8.c 条)時は、サーバーのフォルトです。ボールの離し方や打ち方(第 7.B〜7.D 条)を変える規定は第 25.A 節にありません。統合前の協会のルールページ(保存版)は、2021 年に導入されたドロップサーブを「障害者や初心者の方が少しでも打ちやすいようにした」と説明しています。サーブの条件は「サーブのルールと打つ順番」で確かめられます。

キッチンでボレーする時(第25.A.10条)

第 25.A.10 条では、前の小さい車輪と後ろの転倒防止の車輪は、いつでもキッチンに触れてよいとされています。ボレーの時に大きな後輪や、ボレーする選手に触れているもの(パートナーを含む)がキッチンに触れるとフォルトです(第 25.A.10.a 条)。ボレーの勢いで後輪がキッチンに触れているものに当たった時も、ボールが死んだ後でもフォルトになります(第 25.A.10.b 条)。キッチンに触れた後は、大きな後輪 2 つがどちらもキッチンの外の床に着くまでボレーできません(第 25.A.10.c 条)。キッチンの決まりそのものは「キッチンのルールと反則の例」にまとめています。

場面 見るところ 条文
サーブの瞬間 大きな後輪 2 つがベースラインの後ろ、正しいサービングエリアの中 25.A.8
サーブの瞬間の前輪 コートに出てよい 25.A.8
ボレーの時の前輪と転倒防止の車輪 キッチンに触れてよい 25.A.10
ボレーの時の大きな後輪 キッチンに触れるとフォルト 25.A.10.a
キッチンに触れた後のボレー 後輪 2 つがどちらもキッチンの外に着いてから 25.A.10.c

立って打つ人と組む時・対戦する時

第 25.A.2 条では、ダブルスで車いすを使う選手は、立って打つパートナー、立って打つアダプティブのパートナー、車いすのパートナーのどれとも組めます。大会の種目を決める第 15.A 条には、車いす(シングルス・ダブルス)、立って打つアダプティブ(シングルス・ダブルス)、ハイブリッド(ダブルス)が並んでいます。

車いすの選手は立って打つパートナー、立って打つアダプティブのパートナー、車いすのパートナーのどれとも組め、決まりは車いすを使う人に付くことを示した図
車いすの選手と組める相手

決まりは車いすを使う人に付く

第 25.A.12 条では、大会で車いすの選手は、立って打つアダプティブだけの種目を除くどの種目にも出られ、立つ選手、アダプティブの選手、車いすの選手と組んだり対戦したりできます。車いすだけの種目に出られるのは車いすの選手だけです。どの場合も、車いすの決まりは種目や相手・パートナーの区分にかかわらず、車いすを使う選手に当てはまります。同じコートで 2 回まで弾ませてよいのは車いすの選手で、立って打つパートナーは通常の決まりで打つ、ということです(例外は次の項のアダプティブの選手)。車いす以外の種目では、ラリーの間に立つ選手と車いすの選手を 1 試合に 1 回だけ切り替えられ、用具のタイムアウトとして扱われます(第 25.A.12.a 条)。

立って打つアダプティブとハイブリッド

第 25.B.2 条では、義足や装具、松葉づえ、杖などの補助具は体の一部とみなされ、ボールを打つのには使えません。第 25.B.3 条では、条件を満たすアダプティブの選手は、アダプティブかハイブリッドの種目で 2 回まで弾ませてよく、試合の前に申告して試合の間ずっと使います。条件を満たすか迷う時は使ってはいけない、とも書かれています。第 25.C.1 条のハイブリッドダブルスは、車いすの選手 1 人と、立って打つ選手(アダプティブの選手を含む)1 人の組です。4 人の立ち位置の基本は「ダブルスのルールと立ち位置」で追えます。

コートの周りの広さと電動の車いす

第 25.A.11 条が変えるのは、線の内側のコートの大きさ(第 3.A.1 条の 20×44 フィート)ではなく、周りを含めたプレー面の推奨の広さです(第 3.A.3 条を変える規定)。

線の内側のコートは20×44フィートで同じ、通常のプレー面は最低30×60フィート、新しく作るコートと大会の推奨は34×64フィート、車いすのプレーの推奨は44×74フィート、スタジアムコートでは50×80フィートであることを並べた図
線の内側は同じで周りのプレー面が広い

推奨されるプレー面の広さ

第 3.A.3 条では、通常のプレー面は最低 30×60 フィート(9.14m×18.29m)で、新しく作るコートと大会の推奨は 34×64 フィート(10.36m×19.5m)です。第 25.A.11 条では、車いすのプレーの推奨は 44×74 フィート(13.41m×22.55m)、スタジアムコートでは 50×80 フィート(15.24m×24.38m)とされています。アダプティブと車いすのページのよくある質問では、この広さを動きやすさと安全のためと説明しています。線の寸法は「コートサイズと各ラインの寸法」をどうぞ。

電動の車いす

第 25.A.3 条では、手で漕ぐ車いすを試合の間ずっと動かせない選手は、電動の車いすを使えます。操作するのは本人だけで、時速 10 マイルを超えてはいけないとされています。

国内で体験の情報を探す

国内の情報源として、日本パラピックルボール協会の公式サイトを開いて確かめました。統合前の協会のサイトでは、基本情報・公式ルール・プレイ参加するのページを 2026 年 10 月 1 日に見た範囲で、車いすのプレーの案内はありませんでした。

日本パラピックルボール協会

協会概要によると、日本パラピックルボール協会は 2025 年 1 月 1 日の設立で、規約では千葉県を所在地と主な活動地域とし、体験会などの機会の提供を活動に挙げています。公式サイトのお知らせには、2025 年 7 月 21 日に船橋アリーナ(船橋市総合体育館)で開く「車いすピックルボール体験」の案内があり、対象は「障害のある方問わず、参加可能」、競技用の車いすとパドルは無料で貸し出し、持ち物は動きやすい服装・体育館シューズ・飲み物と書かれていました。確認日の時点で、お知らせのいちばん新しい掲載は 2025 年 9 月のもので、次の開催は書かれていませんでした。

体験会と練習の場の探し方

次の開催を知りたい時は、協会の公式サイトのメニューにある問い合わせから尋ねられます。車いすに限らない体験会の探し方は「体験会の探し方と当日の流れ」、競技の全体像は「ピックルボールとは?」にまとめています。会場を借りて場を作るなら、車いすで入れるかと、上のプレー面の広さが取れるかを施設に確かめておきましょう。

よくある質問

Q. 車いすピックルボールでは何回までバウンドしてよいですか?

A. 車いすの選手は 2 回まで弾ませてから返せます。2 回目はプレー面のどこでもよく、3 回弾むとフォルトです(第 25.A.9 条)。

Q. 障害がなくても車いすの選手としてプレーできますか?

A. 第 25.A.1 条では、障害の有無にかかわらず、車いすでプレーする人が車いすの選手とされています。大会に出る時は、種目の条件を要項で確かめてください。

Q. 立って打つ人と車いすの人でダブルスを組めますか?

A. 組めます(第 25.A.2 条)。車いすの決まりは車いすを使う選手に当てはまり、立って打つパートナーは通常の決まりで打ちます(第 25.A.12 条)。条件を満たすアダプティブの選手の例外は第 25.B.3 条にあります。

Q. サーブの時、車いすの前輪がコートに入ってもよいですか?

A. 第 25.A.8 条では、大きな後輪 2 つがベースラインの後ろの正しいサービングエリアにあれば、前の小さい車輪はコートに出てよいとされています。

Q. ボレーの時に前輪がキッチンに入っていてもよいですか?

A. 前の小さい車輪と転倒防止の車輪は、いつでもキッチンに触れてよいとされています(第 25.A.10 条)。大きな後輪が触れるとフォルトです。

Q. 車いす用に特別なコートの線が必要ですか?

A. 線の内側の大きさは通常と同じです。周りのプレー面の推奨が 44×74 フィート(13.41m×22.55m)と広くなります(第 25.A.11 条)。

参考・出典

この記事の車いすとアダプティブの規則、国内の団体の情報は、2026年10月1日に USA Pickleball の2026年版ルールブックと各ページ、統合前の協会の公式ルールのページ(保存版)、日本パラピックルボール協会の公式サイトを開いて確認した内容です。ルールブックは毎年改定されることがあり、団体の案内も更新されるので、プレーや参加の前に各公式ページをご確認ください。原文は転載せず、条文番号つきで要点をまとめています。

最終更新日: 2026年10月7日

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