ピックルボールのダブルス戦術とは、2人のペアがどこに立ち、どのボールを誰が打ち、いつ前に出るかを、ルールの範囲で決めておくことです。1人ずつの打ち方がそろっていても、ペアの動き方が決まっていないと、真ん中のボールを2人とも見送ったり、1人だけ後ろに残ったりして点を失います。
結論から言うと、ペアの約束事は「2人で前に出る」「真ん中を誰が取るか決める」「声を出す」の3つに絞れます。ツーバウンドルールが済んだら2人そろってキッチンの線まで進み、真ん中のボールの担当を試合前に決め、ボールが来る前に短い言葉でパートナーに伝えます。この3つが決まっていれば、2人の間でボールを見送る・同じボールを追う、といった取りこぼしを防ぎやすくなります。
この記事の要点
- ルールで決まっているのは、サーブとレシーブの時の立ち位置やツーバウンドルールなど。ラリー中の立ち位置と担当はペアで決めます
- 前に出るのは、ツーバウンドルールが済んでから。2人が並んでキッチンの線に進むと、相手に狙われる角度が狭まります
- 真ん中のボールは相手に狙われやすい場所です。どちらが取るかを試合前に決めておきます
- 声は「自分」「任せた」「スイッチ」など短い言葉で。ボールが空中にある間のアウトの声は、パートナー同士のやりとりとして扱われます
- 2人の間隔は約1.8〜2.4m。ボールの動きに合わせて、2人で同じ向きに動きます
対象読者: ダブルスでラリーはできるものの、ペアの動きがかみ合わずに負けてしまう人。
読了後にできること: 試合前の数分でパートナーと約束事を3つ決め、試合中に同じ動き方と声かけでプレーできます。
ルールで決まることとペアで決めること
ダブルスの約束事を考える前に、ルールで決まっていることと、ペアが自由に決めてよいことを分けておきます。ルール全体は「ピックルボールのルールを初心者向けに簡単整理」で確かめられます。

ルールで決まっていること
USA Pickleball のPickleball Rules Summaryによると、サーブを受けるチームはサーブを1回弾ませてから返し、サーブ側もそのリターンを1回弾ませてから打つ必要があります(ツーバウンドルール)。ネットの両側7フィート(約2.13m)のキッチンではボレーが禁止です。サーブとレシーブの時の立ち位置は、チームの点が偶数か奇数かで決まります。立ち位置の決まり方は「得点の数え方|スコアコールの読み上げ順」にまとめています。
ペアで決めてよいこと
2026年版の公式ルールブックの5.B.4では、サーブとレシーブの時を除けば、自分の側にいる限り、コートの内外を問わず立つ位置に制限はないとされています。つまり、ラリーが始まってからどこに立つか、どのボールを誰が打つかはペアで決められます。ここを決めずにプレーすると、2人の間に空いた場所を相手に狙われます。
| 項目 | 決まり方 | 根拠・決める人 |
|---|---|---|
| サーブ・レシーブの時の立ち位置 | 点が偶数か奇数かで決まる | ルール要約・ルールブック5.B.3 |
| 2球目・3球目を弾ませるか | 弾ませてから打つ | ツーバウンドルール |
| キッチンの中でのボレー | 禁止 | ルール要約 |
| ラリー中の立ち位置 | 自分の側なら制限なし | ルールブック5.B.4・ペアで決める |
| 真ん中のボールの担当 | ルールに定めなし | ペアで決める |
| 声のかけ方 | 相手の気をそらさない範囲で | ペアで決める |
約束事1 2人で前に出る
USA Pickleball のダブルス戦術のページでは、ダブルスの点の多くはキッチンの線で決まるとして、ツーバウンドルールが済んだらすぐに2人で前に出るようすすめています。2人がそろって進むと、ペアの並びが崩れず、相手が狙える角度が狭まるからです。

サーブ側とレシーブ側で出る時が違う
立ち位置の基本のページによると、サーブ側はリターンを弾ませる必要があるので、サーブの後はベースラインにとどまり、3球目を打ってから前に進みます。レシーブ側は、サーブを受ける人だけがベースラインの後ろから始め、パートナーは最初からキッチンの線で待ちます。リターンを深く返せば、受けた人がキッチンの線まで進む時間ができます。
| チーム | 始める位置 | 前に出る時 |
|---|---|---|
| サーブ側(2人とも) | ベースライン | 3球目を打った後 |
| レシーブ側・受ける人 | ベースラインの後ろ | 深いリターンを打った直後 |
| レシーブ側・パートナー | キッチンの線 | 最初から前にいる |
3球目をキッチンに落とすサードショットドロップは「サードショットドロップの打ち方と使い分け」で詳しく扱っています。
途中で止まらず、止まる時は相手が打つ瞬間に
ベースラインとキッチンの線の間は「トランジションゾーン」と呼ばれ、同じページでは足元へ強く打ち込まれやすい場所だとしています。通り抜ける場所で、長くとどまる場所ではありません。ただし走ったまま打つとミスが増えます。スプリットステップのページでは、相手が打つ直前に小さく跳び、相手のパドルにボールが当たる瞬間に着地して、どちらにも動ける姿勢を作るよう説明されています。2人とも同じ瞬間にスプリットステップを入れると、並びがそろったまま前に進めます。
約束事2 真ん中を誰が取るか決める
ダブルス戦術のページでは「真ん中へのボールは謎を解く(down the middle solves the riddle)」という言い回しを紹介し、真ん中を狙うと角度が小さくなり、相手2人にどちらが取るかの判断を強いられるとしています。つまり、真ん中は相手に狙われやすい場所でもあります。

真ん中の担当は試合前に決める
ルールには真ん中のボールの担当は書かれていないので、ペアで決めます。決め方にはいくつか考え方があり、どれを選んでも構いません。大事なのは、ラリーの前に2人が同じ決め方を覚えていることです。下の表は、ピックルガイド編集部がまとめた決め方の例です。
| 決め方の例 | よいところ | 気をつける点 |
|---|---|---|
| フォアハンド側の人が取る | 強く振れる側で打てる | 2人とも同じ利き手だと、左右で担当が入れ替わる |
| クロスから来たボールは、打った相手の正面にいる人が取る | 角度に合わせてすぐ動ける | 慣れるまで判断に時間がかかる |
| 直前に声をかけた人が取る | どんな場面でも使える | 声が遅れると2人とも見送る |
迷ったボールは声で解決する
同じページには、ダブルスのラリーは速く、迷うとミスにつながるので、すばやく決めてそのショットをやりきるよう書かれています。決めた担当と違う人が取る時も、声をかけてから打てば、2人がぶつかったり見送ったりするのを防げます。相手の真ん中を狙う側に回った時は、ディンクの狙い分けと合わせて考えると組み立てやすくなります。ディンクの3方向の使い分けは「ディンクの打ち方と狙う場所」にまとめています。
約束事3 声を出す
ダブルス戦術のページは、最後に「ダブルスはチームワーク。パートナーと話し、励まし合い、コートでつながっていること」と締めくくっています。声は、2人が同じ判断をするためのいちばん手軽な道具です。

短い言葉を決めておく
ラリー中にかける声は、1語か2語の短い言葉にしておきます。何を言うかをペアで先に決めておくと、聞き間違いが減ります。
| 場面 | かける声の例 | 目的 |
|---|---|---|
| 真ん中にボールが来る | 「自分」「任せた」 | どちらが打つかを決める |
| 相手のボールが長く飛んでいる | 「アウト」「見送り」 | 打たずに見送るかを伝える |
| パートナーが自分の側まで取りに来た | 「スイッチ」 | 左右を入れ替えることを伝える |
| 相手のロブが上がった | 「頼む」「自分」 | 下がって取る人を決める |
ルールで気をつけること
公式ルールブックの8.F.4では、ボールが空中にある間の「アウトになりそう」というパートナー同士の声は、ラインコールではなく選手間のやりとりとして扱われるとされています。一方、10.Fでは、相手が打とうとしている時に気をそらしてはいけないとされ、大きな音を立てる・足を踏み鳴らすなどが例に挙がっています。声はパートナーに向けて、相手の邪魔にならない大きさで出します。
前後に分かれた時は後ろの人が「スイッチ」
USA Pickleball のポーチのページでは、前の人がパートナーの側に大きく入って打った時は、後ろの人が「スイッチ」と声をかけて左右を入れ替えるよう説明されています。前の人からは後ろが見えないので、声がないと2人が同じ側を守ってしまうからです。できれば、前の人が戻り始める前に声をかけます。
2人の間隔と動きをそろえる
約束事が決まったら、2人の並び方をそろえます。立ち位置の基本のページでは、前に出る時の要点として「ボールを追う」「スプリットステップ」「パートナーとつながる」の3つが挙げられています。

間隔は約1.8〜2.4m
同じページでは、パートナーとの間隔を6〜8フィート(約1.8〜2.4m)に保ち、コートに空いた場所を作らないようすすめています。片方だけが前に出たり、片方だけが外に寄ったりすると、2人の間か外側に大きな空きができます。
ボールの動きに合わせて2人で動く
「ボールを追う」とは、ボールが飛んでいく方向に合わせて、2人が同じ向きに少しずつずれることです。ボールが右のサイドラインに寄れば2人とも右へ、左に寄れば2人とも左へ動くと、間隔を保ったまま、相手が打ちやすい角度を狭められます。USA Pickleball のスキルレベルのページでも、4.0 の段階の説明に「パートナーの位置を意識し、チームとして動ける」ことが挙がっています。
試合前に決める手順とよくある失敗
最後に、試合前の数分でペアの約束事を決める手順と、ダブルスでよくある失敗をまとめます。練習の組み方は「ピックルボール 練習メニュー|人数別の組み方」を参考にしてください。
試合前の5つの確認
- 最初のサーバーを決める: 点の偶数・奇数で立ち位置が決まるので、2人で覚えておきます
- 前に出る時を確かめる: サーブ側は3球目の後、レシーブ側は深いリターンの後に前へ出ます
- 真ん中の担当を決める: 上の表の決め方から1つ選びます
- 声の言葉をそろえる: 「自分」「任せた」「スイッチ」など、使う言葉を決めます
- 得意な側を話しておく: フォアハンドとバックハンドのどちらが得意かを伝え合います。得意な側に立ち続けたいペアは、「スタッキングの仕組みと始め方」の並び替えも使えます
よくある失敗
- 1人だけ前に出る: 2人の間に大きな空きができ、足元や間を狙われます。2人そろって進みます
- トランジションゾーンで止まる: 足元へ打ち込まれやすくなります。止まる時は相手が打つ瞬間のスプリットステップだけにします
- 真ん中を2人とも見送る: 担当を決めていないと起きやすい失点です。試合前に決め、迷ったら声で解決します
- 声が遅い・長い: ボールが来てからでは間に合いません。短い言葉を早めにかけます
- 速い球を強く打ち返そうとする: 押し込まれた時は、勢いを殺して落とすリセットも選べます。使い分けは「ボレーとリセットの使い分け」で紹介しています
競技の全体像から確かめたい人は「ピックルボールとは?」もどうぞ。
よくある質問
Q. ダブルスでは、いつ前に出ればいいですか?
A. ツーバウンドルールが済んでからです。サーブ側は3球目を打った後、レシーブ側の受ける人は深いリターンを打った直後に、キッチンの線へ進みます。
Q. レシーブ側のパートナーは最初からキッチンの線にいていいですか?
A. はい。USA Pickleball の立ち位置のページでも、受けない側のパートナーは最初からキッチンの線で待つようすすめています。
Q. 真ん中のボールは誰が取るのが正しいですか?
A. ルールでは決まっていません。フォアハンド側の人が取る、など決め方の例はありますが、ペアで試合前に1つ決めておくことが大事です。
Q. ラリー中にパートナーへ「アウト」と声をかけてもいいですか?
A. ルールブックの8.F.4では、ボールが空中にある間のパートナー同士の声はラインコールではなく、選手間のやりとりとして扱われるとされています。
Q. パートナーとの間隔はどのくらい空ければいいですか?
A. USA Pickleball の立ち位置のページでは、6〜8フィート(約1.8〜2.4m)が目安とされています。間を空けすぎないことが大事です。
Q. 左右を入れ替える時は、どちらが声をかけますか?
A. ポーチのページでは、後ろにいる人が「スイッチ」と声をかけるよう説明されています。前の人からは後ろが見えないためです。
参考・出典
この記事のダブルスの立ち位置と声かけに関するルール、技術の説明は、2026年9月29日に各公式ページを開いて確認した内容です。ルールブックは毎年改定されることがあるので、大会に出る前は公式のページをご確認ください。
- Pickleball Rules Summary(USA Pickleball)
- 2026 USA Pickleball Official Rulebook(PDF)
- Top 7 Pickleball Doubles Strategy Tips(USA Pickleball)
- Pickleball Basics: Positioning, Patience, and Kitchen Line Strategy(USA Pickleball)
- Pickleball Poaching: Planned vs. Opportunistic Strategy(USA Pickleball)
- How to Master the Split Step for Faster Reactions(USA Pickleball)
- Pickleball Skill Levels(USA Pickleball)
最終更新日: 2026年10月5日
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